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■パチンコ依存症とは?■

ある依存症者―Kさんの場合
【1】パチンコとの出会い,そして借金の始まり
【2】パチンコ依存と共依存―2つの深み
【3】最後の大負け,そして気づき



【2】パチンコ依存と共依存―2つの深み

〔Kさん,お金を借りる〕

パチンコに続きスロットデビューまで果たしてしまったKさん。

すっかりパチンコ屋に入ることに抵抗がなくなってしまいました。
スロットがとても面白かったんだそうです。
「ん?これリーチかな?」「入ったかな?」ってドキドキするのが,とても楽しかったそうです。

パチンコと違って,毎回必ずきちんと回るのも,ちょっと短気なKさんの性分にもあっていました。

最初は彼と一緒に少しだけ。
だんだん金額が大きくなって。
そのうち一人でもパチンコ屋に入れるようになって。

二人で出かけるのはパチンコ。
仕事帰りもパチンコ。
二人とも休みの日は,朝から並んでみたり。

でもね。
Kさんはずっとこう思っていたそうです。

「パチンコはギャンブル。ギャンブルは遊び。遊びは余裕のある(金銭的にも時間的にも)範囲でやるもの」

彼は,どちらかというと,ギャンブルで一攫千金を狙うタイプでした。
楽天家の彼は勝った時の話しかしません。
でも,傍で見ているKさんは,彼が結構負けているのを知っています。
そんな彼を見ながら,(困ったなあ)って少し溜息をついてみたり。

でも,「ギャンブルは遊び!」って言ってるKさんだって,一度に数万円も使っていたし,いくら負けても,一度勝ったら負けたことなんて忘れちゃって,「また明日も勝てるかも♪」なんて考えてまたパチンコ屋に行っちゃうんですよ?

パチンコは遊びだと割り切ってようが,
パチンコは勝てる!と信じていようが。

やってることは同じなんですけど,Kさん…
私もこっそり溜息をついてしまいました。

Kさんも彼も若いので,ちゃんと仕事も頑張っていました。
でも,いつもお金がありませんでした。
そりゃそうです。
パチンコもそうですが。
二人には追いかけている夢がありましたから。
その夢だって,結構お金がかかっちゃうんです。

いくら働いたって,追いつかなかったんです…

そんなある日。
夢のための資金が足りなくなってしまいました。
一緒に夢を追いかけていた二人の,会計担当はKさんでした。
だって,Kさんは自分でも,まだ「堅実だ」って信じていたから。

Kさんは考えました。
このお金は支払わなければいけないお金だ。遅れたら迷惑がかかる。
信用だって失う。絶対に払わなくちゃいけない。

でも。
手元のお金じゃ足りない。

そしてそして。
なんてバカなんでしょう。

「スロットでちょっと増やせないかな?」

…ああ。やってしまいましたよ,Kさん。

そして案の定。…増やせませんって,そんなもの。

ますます困ってしまったKさん。

ついに決心をして。初めてクレジットカードの「キャッシング」という機能を使ってみました。
「絶対すぐ返す。来月返すから!」
誰も聞いていないけど,誰かに向かってKさんはずっとつぶやいていました。
もちろんKさん,本気でそう思ってたんですよ?
借金なんてイヤだ,絶対すぐ返すんだって。

でもね。Kさんは知らなかったんです。
借金って,一度借りてしまえばすぐに免疫が出来て,借りるのにどんどん抵抗がなくなって…
そのうちに,「ちゃんと返すからいいじゃない」って考えるようになるんです。
Kさんは,全然分かってなかったんです。

もう一つ。Kさんの「分かっていないこと」がありました。
Kさんは,「今回の借金は夢のためだ,ちゃんと支払って信用してもらうためのお金だ,決してパチンコのためじゃない!!だから仕方ないんだ!」
って考えていたんですって。
本当にそうでしょうか?
そう思いますか?

あの日に使っ1万5千円が。
3日前に負けた3万円が。
今日元手にして増やそうと思った2万円が。
そのお金があったら?パチンコなんかに使っていなかったら?

「この日に引き返していれば,あとの人生,全然違ったものになっていたでしょうね。借金してまでギャンブルするなんて異常だってもっと早く気づいていれば…」

今,振り返って,Kさんはこうおっしゃいます。

その初めてのキャッシングから,Kさんの長い長い借金生活が始まりました。

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〔彼のパパの話〕

パチンコデビュー・スロットデビューに続き,さらに借金デビューまで果たしてしまったKさん。

ある意味,依存症者の王道ですね…

借金が出来ても,Kさんは生活を変えることが出来ませんでした。
相変わらず夢を追いかけていたし。
パチンコだって止めてはいません。

止めるどころか。
少々,のめり込みが激しくなっていたようです…
だって。

「取り返さなきゃ」

っていう強迫観念が。
Kさんの中に生まれていましたから。

ところで。
彼の方はどうだったんでしょうか?
順調に,パチンコと付き合うことが出来ていたのでしょうか?

いえいえ。
彼女以上にパチンコ大好きで,さらに「アツくなりやすい性格だった」という彼。
彼女同様,カードでお金を借りていました。
カードだけじゃなく。
親とか。兄弟とか。会社の同僚とか。
金額は小さいものだったようですが,あちこちからお金を借りては返す生活だったようです。

そして,Kさんからも。

やがて彼は,Kさんからお金を借りて生活し,給料を全てKさんに返済するようになりました。Kさんに給料を前借してるようなものですね。

そんな彼ですが,常々言っていたことがあるそうです。
「サラ金からだけはお金を借りてはダメだ!」
…それ以外は別に良かったようですから,なんとも偏った考え方なんですが…

彼はなぜ,サラ金からの借金にだけは禁忌を持っていたのでしょうか?

それは,彼のお父さんの借金の為でした。

   *   *   *

彼のお父さんは,両親を早くに亡くして,小学校を卒業してからすぐに働き始めたそうです。
働き先は職人世界で,彼のお父さんも,例にもれず厳しく仕事を仕込まれたそうです。

彼のお父さんは,かなり頑固で融通の利かない性格だったそうですが,この性分が,かなりの部分この職人世界で培われたものだったのかもしれません。

そして,ようやくお父さんが手に職をつけ,一人前に働けるようになり,家庭を持ち,ぼちぼち職場でも中堅の立場に立とうかという頃。
その業界が一気に不景気に陥り…
斜陽を迎えたその業界で,お父さんは職を失ってしまったそうです…

小学校を卒業したてなんて,まだ子供。
そんな子供のうちから,一筋に仕事を覚えてきたお父さん。
その業界でしか通用しない技術や,常識を身に着けてきたお父さん。

そんなお父さんですから,その業界での仕事を失ってしまって,要領よく他の仕事を覚えるなんて出来なかったようです。

新しい仕事は面白くなく。
面白くないから上手くいかなくて。
上手くいかない鬱憤はどんどん貯まり。

貯まった鬱憤を晴らす場として,パチンコ屋通いが始まりました。
やがて,貰った給料をすぐに使い込んでしまい,それを埋めるためにサラ金に手を出し…
首が回らなくなり,ほどなく借金が発覚しました。

最初の借金は100万円ほどだったそうで,お母さんは貯金やら親戚からかき集めたお金やらで埋めたので,彼は知らなかったそうです。

でも,2回目の借金発覚時は,金額も200万近くと大きく,すぐに埋められるものではなかったので,子供たちもみんな成人していたこともあって,家族全員で解決法を考えることになりました。

彼は,お父さんに対して怒り狂ったそうです。

その時から,彼の中に「サラ金は恐い」という観念が刷り込まれたのですね。

   *   *   *

だけど残念ながら。
それは同時に,サラ金や借金というものを,他人事ではなく身近に引き寄せるきっかけにもなってしまったのだから,皮肉です…

そんな話を聞いたKさんの中にも。
サラ金というものが得体の知れない恐いものではなく,「場合によってはお金を借りれるところ」になってしまったのです。

だから。
再度,二人にお金が足りなくなってしまった時。
Kさんがサラ金のドアをくぐることになってしまったのは,当然のことかもしれません。

とてもとても残念なことですが。

Kさんの借金は順調に増えていってしまいました。

借金が増えて,Kさんのパチンコとの付き合いはどうなっていったのでしょうか?


〔…余談ですが,彼のお父さん,2回目の借金を無事返済し終え,わずか数年で,3度目の借金(総額250万ほどだったそうです)を,やはりパチンコで作ってしまったそうです。
なぜお父さんがこうした借金を繰り返してしまったのでしょうか?
お父さんの性格の問題だけではないようです…
これは,依存症のいろんな面と深く関わる問題です〕

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〔Kさん,仕事に行き詰まる〕

さ,Kさんに話を戻しましょう。

“借金”がどんなものかもよく分からず,でもとりあえず「なんとか返せばいいんだ」という気持ちでお金を借りてしまったKさん。

借金を始めて1年もたつ頃には,借金って簡単には返せないものなんだ,って気づいていました。

でもKさん,あまり危機感を感じていませんでした。
なぜなら,Kさんの意識の中で,その借金は「パチンコの為ではない!」って思っていましたからあんまり罪悪感もなかったし,彼女と同じ夢を持っている人たちには,借金のある人がたくさんいたからです。
それに,Kさんはそこそこ稼げる仕事をしていましたから。

「仕事を頑張ればすぐ返せる」
「しばらくパチンコに行かなければすぐ返せる」
「夢のための活動を少しお休みすればすぐ返せる」

そんな風に考えて,ごまかしていたんですね。

だけどそんなある日。
ショッキングな出来事が起こりました。
晴天の霹靂というやつです。

Kさんの会社が,不況を理由に大幅にギャラの引き下げてきたのです。
特にKさんは,いろんなクレームをつけられ,以前の3分の2以下にまで引き下げられてしまいました。

Kさんは大ショックでした。
仕事を変わろうか…とも思いましたが,不況の折,いい仕事があるとも思えません。ギャラが下がっても,その分仕事を増やした方がまだマシだ…そう思って,Kさんは引き続き同じ会社で仕事をすることにしました。

だけど。
厳しいクレームをつけられてしまったKさん。
以前に比べて仕事をするのがひどく苦痛になってしまいました。
当然,仕事量なんて増えません。
むしろ,仕事をしようとするたびに,どんどん気持ちが重くなっていきます。
Kさん,実はかなり小心だったのですね。
「堅実」なわけじゃなく「小心」だったから,
できるだけトラブルの少ない道を選んできたんですね。

それでも,「仕事しなきゃ」「借金あるし」「夢もあるし」って,頑張っていましたけど…

そんなKさんを,彼はよく「ぱーっと気晴らししたら?」とパチンコに誘いました。
…実のところ,彼は自分がパチンコに行きたいから誘ったんですけどね。
実質,彼らの財務省はKさんでしたから。
……いえいえ。本当は,彼の都合のいいATMだった…とまで言っては,
Kさんに気の毒でしょうか…?

Kさんは,重い心を抱えたままパチンコに向かいます。
出なければ,もっと気分が重くなります。

でも,勝てば。
ちょっとでも出れば,少し気分がマシになります。

それに。
そう,勝てれば。
仕事をあまりしなくても,お金が入ってくれば。
少し気持ちが楽になります。

永久に勝ち続けることは出来ないかもしれないけど。
しばらくの間だけでも儲けることができれば。
少し気持ちに余裕が出来て,違う仕事を探すことも出来るかもしれない。
上手くいけば,しばらくはそれで食べていけるかもしれない。
少なくとも,この間の負けは取り戻せるかもしれない。

上手に立ち回れば,上手に付き合えば。
「負けないギャンブル」をすれば。

ずるずる,ずるずると。
「砂地に沈んでいくようだった」
と,Kさんは表現します。

 仕事でストレスがたまってるから
 頑張ったから少しくらい遊んでもいいよね
 新台だし,今日は出るかもしれないから
 あの台,面白かったし甘い台だから
 昨日あまり出してなかったし,今日は出るかも
 昨日負けたけど,その前大勝したから今日も遊んでいいよね
 今日は出てるし昨日の負けを取り返さなきゃ

たくさんの言い訳で心を埋めながら。
Kさんは毎日のようにパチンコ屋に通いました。

だけど。
どんなに言い訳をしても,どんなに冷静に立ち回ろうとしても。

 1万円だけやろう。
     ↓
 もう少ししたら出るかも…
     ↓
 もうそろそろかからなきゃ,おかしい!
     ↓
 ここまでやったら出るまでやめられない!
 連荘したら,まだ取り戻せる!

こんな回路じゃ,「負けないギャンブル」なんてできるわけありません。

こうして,Kさんは,ずるずるとパチンコに嵌り。
借金は増え続け。
ストレス解消どころか,心はもっと重くなっていきました。

もうひとつ,Kさんには大きな問題がありました。
それはKさんの彼です。

Kさんにお金を借りてパチンコをするのがすっかり当たり前になってしまった彼。

そこには,Kさんも全く気づいていなかった大きな問題が横たわっていました。

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〔Kさん,ついに限界を迎える〕

Kさんの「彼」ってどんな人だったでしょうか?

*パチスロが大好き
*大らかで気前がいい
*ギャンブルをしてるとついついアツくなるタイプ
*サラ金はダメだけど,他からお金を借りるのはあまり抵抗がない
*実質的にKさんに給料を前借して生活している

Kさんに言わせると。

「根は優しいけど気弱で甘ったれた子供な人」だそうです。

客観的にみて,日本人の男性にはこういう人多いですね。
今,結構女性は「うんうん」って言ったんじゃないでしょうか?
男性の方は,「自分は違うよ」って言いましたかね?^^;

話を元に戻しましょう。

大体分かると思いますが,彼はお金にルーズな人でした。
あちこちにお金を借りて返さないので,周りの人の信用もあまりなかったし,カードだって停止にされたことがありました。

パチスロも大好きでしたけど,結構見栄っ張りで,人前で「お金がない」とは言えないので,気前よく支払いをしたり,飲みにいくとなれば他の支払いのお金でも,飲み代に使ってしまうような人でした。
気はいいし面倒見もいい人だったようなんですが…

もともと,そんな高給取りな仕事をしていた人ではないし,Kさんと付き合い始めてからしばらくして,勤めていた会社が倒産に近い形になり,社員からアルバイト待遇になってぐっと仕事が減ったために金銭的には決して余裕のあるほうではありませんでした。

そんな彼が,ずっと自分の経済状態に関わり無くパチスロを続けていけたのは。

Kさんが彼にお金を渡し続けていたからです。

パチスロに行くのにお金がない時は。
Kさんがキャッシングして彼にお金を貸します。
貸したお金は,生活費と一緒にまとめて給料日にKさんに返します。

負けると追加でKさんに借ります。
でも勝っても大抵そのときには返さず,次のスロットの資金にします。
だから,大体いつも,給料で払える全額をKさんに借りて,給料日に全額渡して返済するという形だったそうです。
実際には,足りなくて全額返してはもらえないこともよくあったそうです。
それに,彼に貸すお金はキャッシングですから,当然結構な利息が付きます。
でも彼は元金しか返しませんから。
利息はずっとKさんもち。
Kさん,ずっと損をしながらお金を貸していたんですね。

どうして,そこまでしてKさんは彼にお金を渡していたのでしょうか。

「かわいそうだと思った」

と,Kさんは言います。

パチスロが大好きな彼。

お金が無くてできないとか。
手持ちのお金を全部使ってしまって,もう少し回せば出そうなのにとか。
嫌なことがあった時,ストレス解消にパチスロしたいだろうなあ…とか。

自分はお金を都合できる。
支払日までに返してくれるなら,少しくらいなら貸してもいいけど…

お金を貸すと,彼はとてもとても,喜んでくれたそうです。
それでうまく勝って,ご馳走してくれたりすると。
「まあいいか」
って思ったそうです。

また,先々の支払いを全く考えない彼は,手持ちのお金の全てをスロットにつぎ込むことがよくありました。

「小心」なKさんには,これが信じられませんでした。
Kさんは,「延滞」とか「督促」とかいう言葉が大嫌いだったので,必要な支払いに遅れることはほとんどありませんでした。
 …携帯が止まるくらいはありましたけどね。
…逆に,遅れるくらいなら更に借金を重ねてでも払う…という性格が,さらに借金を増やす結果になっているのですが。

先々の彼の支払いが心配になるKさん。
つい彼にこう言ってしまいます。

「○○の支払い,大丈夫なん?いつまでに払わなあかんの?いくらいるの?
私,これくらいなら今出せるよ?」

彼が「自分の問題」を真剣に考え始める前に。
Kさんが先回りして解決してしまうのです。

だから,多分。

彼が,「本当に困った」ことは,Kさんが思っているよりずっと少なかったのかもしれません。

だからでしょうか。
彼は,支払いの為にKさんが渡したお金を持ってスロットに行くことがよくありました。

「はあ?」って思うでしょ? 私も思いました。

でもね。
彼にしてみたら,「『本当に困った』ら,またKが何とかしてくれる。あいつまだ余裕があるみたいやし。自分は余裕ないけど…」
っていう思考回路になるんですよ…

そうそう。Kさんがお金に困って「貸して」といっても,ほとんど貸してもらえることは無かったそうです。

彼はKさんに頼り。
Kさんは常に自分でなんとかする。

その状況が続けば,こんな構図が生まれてきます。

「Kさんの存在がなければ彼の生活は破綻する」

だから。ある意味で。
Kさんは彼の生命線を握っていたんです。
これは,表面上は非常にわかりづらいのですが,一つの支配の形です。

不思議な話に聞こえるかもしれませんが。
頼る方,楽をしている(ように見える)方がはるかに横暴に振舞っており,頼られる方は無理と我慢を強いられている被害者に見えるにも関わらず,実際に支配権を握っているのは「頼られる方」なんです。
この関係を「共依存」と呼ぶのですが…
これについての詳細は,また来月に触れたいと思います。


Kさんが彼と一緒に暮らしていた10年の半分以上は,
こうやってKさんが彼に給料分のお金を先に貸すような形だったそうです。
かなり長い期間,無理な経済状態を続けていたんですね。

だけど,Kさんだって,金のなる木を持っていたわけではありませんから,無理が続けば破綻につながります。

彼が貸したお金を全額返せない時。
そのたびにサラ金の借金枠が増えていきました。

そしてその彼も。
結局はサラ金から借り入れをしていることが発覚しました。
そしてたびたび返済が滞り,督促の電話が入りました。
せっかく作ったクレジットカードも再び停止になりました。

Kさんのストレスはますます募ります。
泣いて,怒って,叫んで,それでも彼は少しも変わりませんでした。

それどころか。

Kさんに責められるのがイヤになった彼は,いろんな事をKさんに「黙っている」ようになりました。

家族から,会社関係の人からお金を借りていることや。
返済のためにとKさんから渡されたお金をパチスロに使ってしまったことや。
サラ金の返済が今月もできないことや。
Kさんに返すお金が足りないことや。

でも,本当は。

「誰かからお金借りてるの?」と聞かれて「借りてない」と言ってみたり。
「あのお金返したん?」と聞かれて「返した返した」と言って返してなかったり。
「今月お金大丈夫なん?」と聞かれて「大丈夫」と言いながら,
数万円も足りずなんの目処もついていなかったり。

それはね。「黙っている」んじゃなくて「嘘をついてる」んですよね…

Kさんにとって辛かったのは,お金がないことよりも何よりも,
この「嘘をつかれること」だったそうです。

お金は,二人とも働いていたから,本気でスロットも止めて,二人で頑張れば,
ぐっと経済状態はよくなってたかもしれません。
少なくとも,Kさん一人で頑張るよりは,ずっと楽だったはずです。

だけど,完全に壊れてしまった信用は,簡単には取り戻せません。

Kさんの全ての借金の枠がとうとう一杯になったある月。
彼はまたしてもKさんに支払うべき全額を払うことができませんでした。
親に頼み込んで10万円借りても,まだ数万円足りなかったんです。
彼は,そのお金をスロットで稼ごうとし。
結局は失敗しました。

「絶対大丈夫」と言いながら何度も同じ嘘を繰り返す彼に,疲れきったKさんは,とうとう(というよりは,『ようやく』『やっと』と言いたい私です)彼との別れを決意しました。

何と言っても10年ですから。
別れるのもなかなか大変だったようですが。
周りの友人達の力添えもあり,無事に別れることが出来ました。

さあ,これでKさんには,ギャンブル依存とも共依存とも縁の切れた,明るい未来が待っています!!

…って?

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残念ながら,そうカンタンには行かないんですよ…

そこが,依存症の恐いところなんです。

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